第2章 レストランにて
「生憎女性たちの相手をする暇はないんでね」
毎回この手の話題はさらりと流すエルヴィンを不思議に思う。まるで、何かを恐れているかのように距離を取りたがるのだ。
特定の相手を作る気はない、尚且つ適当に遊んでいるわけでもない、何かワケがあるのだろうか。
ミケはミケでプライベートは何をして過ごしているか不明だ。2人ともカルロにとっては敬愛する上官であり、兵士としても人としても尊敬している。尊敬する上官には幸せになってほしいと思うのが人間だ。
「そうですか・・」
話しが変な方向に行きそうな事に気付き、カルロは適当に納得したような返事をした。
「エリナに次回会うときにでも伝えてくれ。駐屯兵団に嫌気がさしたら声をかけてくれ、調査兵団は君を歓迎すると」
笑いながら言うエルヴィンの言葉を、貴族への社交辞令と同等と受け取りカルロは頷いた。