第2章 レストランにて
エルヴィンのおすすめメニューを素直に頼み、料理を待つ。
この場をどう繋ぐべきか不安だったが、そこはカルロが上手く取り計らってくれた。エリナとは同郷の幼馴染であること、同じ訓練所で兵士になったことなど、エリナの概要は2人に伝わったはずだ。
ある程度会話が途切れたところで、スープ、サラダ、メインとバランスよく組み合わされている食事が運ばれてきた。
スープの香りは食欲をそそる。
「おいしい!すごく美味しいです!」
声のトーンが上がっているのを聞いたエルヴィンは自分のチョイスを気に入った事と、少しは緊張が解けてきたであろうエリナの様子に安堵した。今が聞くタイミングかもしれない。
「エリナ、君はどうして駐屯兵団に?」
聞かれてもおかしくない質問に、エリナはスラスラと答えた。
「はっ!壁の中の人類を一番近くで守り、寄り添うことができるのが駐屯兵団だからです」
「そうか」
軽く目を閉じ口角を上げてパンを口に運ぶエルヴィンの動作を見送り、メインの食材にナイフを入れた。
ミケはそんなエリナの様子を見て鼻を鳴らす。
---馬鹿め、エルヴィンを前にウソは付けないぞ—-
「エリナ、言葉足らずだった。どうして駐屯兵団に入ったのか、君の本心を話しなさい。誰にも言わないと約束する」
顔を上げると、青い瞳が自分を見つめていた。さっき寝転がってみていた空と同じ色で心が緩んだのか
「訓練施設で10位に入れるほどの能力もない、わざわざ危険に身を晒したくない・・そんな人間に駐屯兵団以外の選択肢なんてあるわけないじゃないですか」
エリナは駐屯兵団の大方が思っている事を、包み隠さず話していた。