第4章 思いがけない喪失
助けを求めようと駆け寄ったのはいいが、…どうやら間違いだったみたいだ。
ペトラさんが異常にニヤニヤした顔で私を見ている。
ペトラさんもこんな顔するんだ…、とある意味感心した。
「ちょっと、シャーロット!今の何!?
二人ってばいつのまにあんなに仲良くなってたの!?」
たしかに初めからエレンはシャーロットにだけは懐いてたけど…、とその言葉は止まることを知らないのかペラペラとペトラさんの口から溢れ出てくる。
全く、ペラペラペトラさんである。
「ペトラさん、一旦落ち着いて、」
「これが落ち着いていられますか!
…いいなぁ、あんなこと人生で一度はされてみたい。
もし、兵長にあんなに強引に引き寄せられたら……、キャー!私、多分失神しちゃう…!」
ペトラさんは両手で自分の顔を覆い、左右にブンブンと振っている。
恋する乙女のパワーはすごいものだな…。
しかも、相手が兵長とは。
ペトラさんは勇者だなぁ。
取り敢えず一人で真っ赤になって興奮しているペトラさんの肩を軽く叩き声をかける。
「ペトラさん、ペトラさん。その続きは後で聞きますから、そろそろ出発の準備してください。」
すると、ハッ…!と短く声を上げて次は私の顔を見ると、今度は顔を真っ青に染める。