第3章 創り上げられる信頼
それから、ハンジさんの調べにより結局エレンは故意に巨人化したわけではないことが分かった。
良かった…。
これでエレンが私達に対して敵意がないことがエルドさん達に証明することができた。
エレンには本当に申し訳ないことをした。
そのささやかな代償として、私達は自分の手を噛んだ。
エレンは初めは戸惑った様子だったが、ペトラさん達の言葉に少し緊張した面持ちで頷いてくれた。
そろそろ日も落ちてきた頃だったので、それぞれの部屋に戻る。
私はなんとなくエレンと離れたくなくて、地下の部屋までエレンを送ることにした。
「シャーロットさん…、その手、痛くないですか…?」
部屋に入ると真っ先に手を掴まれ心配される。
わたしはエレンを見上げ答える。
「大丈夫。…エレンの痛みに比べたらこんなの痛くもなんともないよ。」
まだ15歳にも関わらず突然人類の希望と称されたエレン。
だけど、必ずしも期待だけされた訳ではない。
"化け物"
エレンのことをこう呼ぶ者も少なからず居た。
その声はエレンの耳にも入っているだろうし、その事で傷付かないほど大人ではないだろう。