第2章 新たに迎え入れられる者
でも、エレンはこちらの事情など知らないのか、どんどん顔を近づけてくる。
これはまずい。
横目でハンジさんに、助けてください!と視線を送るもニヤニヤしながら無視される。挙げ句の果てにガッツポーズまでされる。
この人に助けを求めた私が馬鹿だった。
それでも、やっぱり至近距離の視線に耐えることができなくて、思いっきり目を瞑る。
「あ、あの、エレン。ちょっと、一回離れよ?ね?」
「ダメです、シャーロットさん。俺のことちゃんと見て?」
「うぅ…、む、無理、です。」
最近の若い子って、みんなこんなに積極的なのか?
15歳とは思えない色っぽい声で名前を呼ばれると、つい目を開けてしまいそうになる。
もうどうにでもなれ、と半ば諦めかけていた時。
「おい、エレン。いい加減離れろ。」
兵長の不機嫌そうな声が聞こえてきた。
すると、エレンは慌てた様に私の両手を掴んでいた手を離して
「えっ?…うぁっ!すいません!俺、つい嬉しくて、無意識で…!ほんと、すいません!」
と凄い勢いで頭を下げてきた。
無意識って…、天然でこんなことされたら心臓がいくつあっても足らないな…。
いいのいいの、と両手を胸の前で振る。
申し訳なさそうに頭を上げたエレンの顔にはまだ痣が少し目立っていた。
そうだ、照れてる場合じゃない、早く手当てしてあげないと。