第19章 帽子の男
『り、立体機動装置…だと?!兵士でもないやつが何故…。そうか!お前が地下街で有名なゴロツキか!』
リヴァイは憲兵を無視してリサの傍に駆け寄る。
『リサ、大丈夫か?すまん、助けるの遅くなってしまった…。にしても、よくシーツ被ってたな?思いっきり突っ込んだからガラス片が飛び散ったろ…』
リサが周りのガラス片を触ろうとすると、スっと横からリヴァイがガラス片を摘んで横へ投げ捨てる。
『シーツを被るように言われてましたから』
『あ?誰に言われた?』
『それは―――』
憲兵が最後に名前を言っていたのを思い出し、口に出そうとするが帽子の男との約束を思い出した。
―――俺の事は内緒だぜ
見知らぬ人ではあるが、リヴァイと知り合いなのは確実である。
リヴァイはもしかしたらその男と会いたがるかもれない…、でも今はその約束を優先した方がいいと思った。
『根は優しそうな憲兵のおじさんです』
『何だそりゃ…?』
膝を抱えながらリサはクスクスと笑った。
『おい!俺らを無視するんじゃねぇよ!』
『リヴァイさん!危ないっ!!』
リヴァイの背後から憲兵は銃を取り出す。リサは咄嗟にリヴァイの腕を引っ張った。
『リサは伏せてろ』
リサに一瞬微笑みかけると、リヴァイは後ろを振り返ることなくナイフを投げつけ銃に命中する。
バーーン!!!
『うわーーーーっ!!』
『ギャァァァ!』
ナイフが刺さった銃は暴発し、隣の憲兵の太股に銃弾が当たる。銃が当たった憲兵は痛みで床を転げ回っていた。
リヴァイは最初に銃を構えた憲兵に飛び蹴りを食らわすと、銃に刺さった自分のナイフを回収する。
『くそっ!こっちは正当防衛だからな!ゴロツキと仲間のお前も同罪だ!』
――――――!!?
まだ無傷の憲兵の銃口がリサを狙う。
キラリと光る先にリサは目を閉じた。