第19章 帽子の男
『もしかして…リヴァイさんの知り合いですか?』
数名の憲兵はリサから退きぎこちなく敬礼をしていた。
帽子を深く被った男は、まぁそんなとこだと濁す。
そして目の前の特殊な窓の外側から至る所に血痕が付いていることに気が付く。
『成程なぁ…こんな場所であんな事するのはどチビぐらいか!ハッ、ガキのくせに一丁前に色付きやがって…。なぁ、嬢ちゃん…』
『な、何でしょう…』
『アイツを頼むぜ?俺はもうアイツに会えねぇから…嬢ちゃんが心だけでも傍にいてやってくれ。アイツと次会うときは…』
――――敵かもな
『敵?!…え、どういう意味ですか?!』
睨むように帽子の男を見る。
ははっ!気は強いな!と少し声を上げ笑うと、部下の憲兵の前に立つ。若い下っ端の憲兵たちはまさか自分の上司、しかも幹部側の上司がこんな地下街に来ているとは思わず硬直していた。
『テメェらなぁ…勝手なことするなよ。久しぶりの地下ってのによぉ。俺がお偉いサンに怒られるだろ~?兵士の規約違反ってやつだよなぁ?本来なら俺が隠蔽してるところだが……俺が手出しする間もねぇか』
帽子の男はサッとドアの前まで下がり廊下まで出る。
そして、ポケットから2つの銃を出し構えた。
『嬢ちゃん!あのチビ…リヴァイを頼む!リヴァイに愛ってやつを教えてやってくれ!俺は愛情ってやつを教えてやれなかった…』
『やっぱり!リヴァイさんの知り合いなんですね!貴方は誰なんですか?!』
『……それは言えねぇなぁ。さて、時間切れだ!嬢ちゃん、俺の事は内緒に頼むぜ?嬢ちゃんとはまたどこかで会う気がするな。嬢ちゃん、破片が飛び散るからシーツ被ってな。………じゃぁな』
『『ア、アッカーマン隊長!!』』
―――――アッカーマン…?
バキューーン!!とわざとらしい銃声音を声に出すと、両手に構えていた銃を撃った。
一発は窓の鍵。
もう一発は窓。
――――ピシッ!!!
帽子の男はニヤリと笑うと、ロングコートを翻して廊下から去って行った。
ガシャーーーーン!!
『――――?!リヴァイさん!!!』
立体機動装置で体を振り子にしてリヴァイが窓を蹴り割って突っ込んだ。
『テメェら…覚悟は出来てるな…?』
鋭い眼光が若い憲兵を突き刺した。