第17章 責任と真面目故(●)
『……相変わらずここは汚ねぇ感じがするな』
『リヴァイ、あそこの建物が目的の場所だ!』
リヴァイ達は目標から少し離れた建物の上に着陸する。
周りの建物の位置や地上にいる人達を一通り見回す。
娼館があちこちあるだけに地上では腕を組み合う男女が多い。誰もリヴァイ達の存在に気づいていないようだった。
『イザベル、お前は無理するな…』
イザベルが少し赤面しているのに気がついていたリヴァイは優しく頭を撫でる。
自分の責任を感じて付いてきたものの、こういった場所は照れてしまう。
『お、俺はリサの為に頑張るぜ!』
『お子ちゃまには刺激が強い場所だからなぁ』
ムッとするイザベルにファーランは冗談だよと付け加えた。
『お前ら、お喋りはそこまでた。ファーランは撤退時の経路の確認をしておいてくれ。万が一の時もある。イザベルは見張りだ。憲兵のやつらが来る可能性もあるからな。憲兵が来たら時間を稼いでくれ』
『兄貴はどうするんだ?』
『俺は1人で忍びこむ。3人での行動は目立つ…。それに、俺達は無駄に4日間過ごしていたわけじゃない』
『早くから動いていて良かったよ。周辺のことは俺達に任せてリサの所へ行ってくれ。…リヴァイ、ここにいるリサの姿を見る覚悟はあるか?』
『あぁ…理解している』
一呼吸置いて答える。
明かりがぼんやりと付いている部屋のどこかにリサがいる。アジトを飛び出してから暫く経つ。それはもうリサが客を相手している事を意味する。渦上に感情が芽生えるが今は底に押し込めた。
『お前ら…気をつけろよ!』
建物から飛び降り、トリガーを引いて目的の娼館の建物の裏側に回ることにする。
地上の人々に気づかれないよう高い位置にアンカーを打ち込む。
『チッ…デケェ娼館建てやがって。どこにリサがいるのか分からねぇ。…侵入するか』
侵入に適したところに目星を付けると1度アンカーを外し身体を回転して捻らせ、開いている小さい窓に目掛けてアンカーを打つ。
リヴァイはそのまま一直線に飛び入った。
『リサ、どこにいる…。お前をクソ野郎から助けるからな』
ナイフを片手に持ち、リヴァイは部屋から出た。