第17章 責任と真面目故(●)
廊下に出ると左右共に長い廊下がある。
幸いなことに廊下は誰もいなかった。
リヴァイは勘を頼りに警戒しながら進む。
時折部屋から卑猥な声が聞こえ、この建物が娼館なのだと再認識してしまう。
少し進むと階段が見えてくる。
壁に張り付くように耳をすませると誰かが階段を上がってくる足音が聞こえる。
『(……女か。仕方ねぇ…)』
露出が多めの女が次の階段に上がろうとするところに、リヴァイは素早く後ろに回り両手と口を塞ぐ。
『……騒ぐな。殺しはしねぇ…。てめぇ…リサを知っているか?たまにここに来ているだろ』
女の口から手を外すと震えた声で、最上階の1番奥の部屋ですと伝える。
『おい、リサ専属の客の名前は知っているか?』
『オ、オレグ・ロヴォフ様です…』
――――やはりな。調べた通りだ
もう行けとリヴァイは女を少し押すとそそくさと走って行った。
最後にリサと会ってから独自に調べていた。
ローザから名前を聞き出し、ローザの娼館の目の前に出来た娼館はまだ新しい。目新し女の子がいる、とローザ達の店から常連がよく乗り換えていたという。
女の数は多い方がいい店と金が欲しかったリサ。
慣れない場所と真面目さ故の性格が娼館からすればカモである。
リサが辞めれなかった理由は金が足りないということではない。
『真面目に借金帰す為にって身体張っていたリサを騙すようなことをしやがって…許さねぇ。リサは1番上の階だったな…窓から出て一気に行くか』
必要以上に騒ぎを大きくする必要がないとリヴァイは窓を開けて飛び降り、屋上を目指し立体機動装置で飛び上がる。
ギュルギュルと上がっていくと途中で大きな窓が目に入る。そのまま通り過ぎようとするが、動体視力がいいリヴァイの目は一瞬でリサの姿を見つけた。
――――リサ!!
アンカーを外して、窓の近くに打ち直し壁に体を固定させる。リヴァイは覚悟を決め深呼吸をして、中の状況を確認することにした。
『ん?今何か音がしたか?…まぁ、いい。リサ、上手に出来たね。とてもよかったよ…』
『喜んでもらえて良かったです…。あの…、お水頂いてもいいですか…』
――――?!
窓側に寄ってきたリサとリヴァイは目が合った。