第16章 始まりの過去
『だから…私は汚れているんです。リヴァイさんにこうやって抱きしめてもらうなんて都合が良すぎなんです』
離れようとするリサを離さないようにリヴァイは抱きしめる。
『ちっとも汚れてねぇ…。お前は器用だけど、不器用なんだよ。もっと…俺に甘えろ』
頬にキスをされリサは顔が熱くなる。
こんな話をしたら嫌われるのではないかと思っていた。
リヴァイの器の大きさと優しさに力が抜けそうになる。
『リサ…もっと触れたい』
『……駄目です』
『……もう俺には触られたくねぇか?』
『ち、違います…。そういうことじゃないんです』
急に声のトーンが低くなりリヴァイはリサの目を見る。
自分が窃盗団だとか、いつ地上に上がれるか分からない自分がリサに手を出して、もし…置いていくことになった場合リサに後悔させるわけにはいかない。
危険ことに巻き込みたくない。
だからもっと深い関係になることを拒んできた。
もう、リサを守れるのは自分しかない。
俺は俺に認めてやる
………リサが好きだ
『リヴァイさんが優しい事を言ってくれても、やっぱり事実を知られたら私は…この事が終わるまでは…』
『リサの言いたい事は分かった。お前が気にするなら従おう。…俺は、リサが汚れてるとも思わねぇ…リサは俺の知ってるリサのままだ』
両手でリサの両頬を包むと、そっと口付けを落とす。本当は舌を入れたいぐらいだったがフレンチに我慢した。
『…これぐらいは許せ』
リサは顔を赤くして何度も頷く。
『リヴァイさん、私を見放さないでありがとうございます。もう…手も握ってくれないかと…』
『当たり前だ。言っておくがお前の許可が下り次第、俺はリサが嫌っていうぐらい触れるからな』
『お、お手柔らかにお願いします』
熱を帯びたリヴァイの瞳にリサも身体が熱くなりそうになる。
『こんな事聞きたくねぇけど、次はいつ返済に行くんだ…?』
『次は…5日後です…』
『わかった。少し気になることがあるから俺も後ろから付いて行く。リサはいつも通りにしてろ』
『………はい』