第16章 始まりの過去
『リヴァイさん…あの…やっぱりこんな話…』
『大丈夫だ。ゆっくりでいい…きちんと話せ…』
小さい子をあやす様にゆっくりと頭を撫でる。
リサはギュッと目を瞑り、再び話し出した。
――――私が処女だったのが良かったのか、最初の客がたくさんのお金をくれました。
――――だけど、薬を買い続けるには身体を売り続けないといけませんでした。最初の客が私を気に入ったようでその人だけ相手をしていました。
そして、高額な薬を買い続けていた私はおばあちゃんに…バレました。
――――たくさん泣かれ、もうやめて欲しい、私が身体売ったお金で薬を買うのは悲しいって。
――――その店と縁を切りなさい。と手切れ金になるからと豪華な刺繍が施された反物を渡され、店に渡してお店を辞めようとお願いに行きました。
――――だけど、無理でした。
――――反物だけじゃ手切れ金にならない…。1人の客が私を気に入っているから…と。辞める為の指定の金額、まとまったお金を稼ぐまでは辞めれない…と。
――――おばあちゃんに辞めたと嘘をつくことにしました。それがあってからは、おばあちゃんは薬は一切飲まなくなりました。
――――薬を飲まなくなったおばあちゃんは数日後に…帰らぬ人になりました
『リサ、お前は1人で頑張ってたんだな…。自分のばあさんの為に。やり方は…褒めたもんじゃねえけどな』
リサは泣きながら話をしていてリヴァイは肩に濡れた感触があったが、気にすることなく抱きしめていた。
『お前にそんな事があったのを知らなかったとはいえ、俺はお前に酷いことをしてしまったな…』
『そんな事…ないです』
お金が必要だったとはいえ、リサの身体を差し出した事実はリヴァイの中で複雑過ぎる。
もっと早くにリサと出会っていれば、リサの身体を差し出すようなことはさせなかった。