第15章 緑と赤
『もう、最近の私泣いてばっかり…』
洗面所で鏡を見ながら目の縁を触る。タオルを引き出しから取り出すと、バシャバシャと顔を洗った。
ドンドン…
タオルで顔を拭く手が止まる。
『え…あの人が来るの今日じゃないよね…』
ドンドン…
『……リサ、俺だ。いるんだろ?』
――――私が安心する声
『お前と話がしたい。だから、開けてくれ』
――――待っているヒトがいるんでしょ?
『……リサが俺と話す気になるまでここにいる』
――――私は…
『いや、やっぱ待てねぇな…。リサ、悪いがこの扉蹴り開けるぞ!』
『はい?!ちょ…!リヴァイさん!』
リサはさすがに扉を壊されるのは困るので、すかさず扉を開ける。リヴァイはニヤリとした顔で腕を組んで仁王立ちしていた。
『やっと開けたな。ってか、リサなんで顔が濡れてんだよ…。ほら、顔を拭け…冷えるぞ』
リヴァイはリサの肩に掛けてあるタオルを取ると、リサの顔を優しく拭いてあげる。
手付きが優しいものだからリサは顔が熱くなってしまう。
なんだか、こうして触れてもらえるのも久しぶりだなぁとリサは嬉しくなっていた。
『リサ、ファーランからハンカチを受け取った。お前、本当に俺ともう会いたくなかったのか?』
久しぶりにリヴァイにあの席に座ってもらい、紅茶を用意する。
嬉しくなったり、寂しい気持ちになったり感情の入れ替わりが激しい。
『そんなことないです。でも、リヴァイさんの彼女さんに悪いですから…。今までのお礼を兼ねてハンカチを贈りました』
『あぁ、いい生地のハンカチだ、悪くねぇよ。刺繍も細かくて丁寧な作りだった。で、あの羽は何の意味があるんだ?』
ローザの話は後でな…とリヴァイは付け加える。
『リヴァイさん、今そのハンカチ持ってます?』
『当たり前だ。俺の宝だからな』
嬉しさで口がニヤけそうになるのを抑え、リサはハンカチを受け取った。