第15章 緑と赤
『緑はリヴァイさんのイメージカラーです。赤は…私かなぁ…なんて…』
『ほぅ…』
自分が作った物の説明は気恥ずかしい。
『普通にハンカチを折りたたむだけじゃ、この2つの羽は意味を持ちません』
表と裏に羽があり、リサは指を指しながら説明する。
『こちら側の羽に、反対側の羽が出るように折り曲げます。このまま沿って羽同士合わせると…ほら、翼を広げた感じになります』
左側に赤の羽、右側に緑の羽。
離れていた2色の羽は合わせることにより翼になる。
それはリサの願いの翼。
離れることがあっても必ずひとつに。
『なるほど。一見普通の柄かと思える羽も説明聞くと面白い。俺とリサだけが知る翼か…』
『そうですね、説明聞いてない人は分からないかもしれません』
『赤がリサで緑が俺か…なら、俺はこの緑の羽の刺繍みたいに赤の羽の刺繍…リサの元にいつでも行ってやらねぇとな』
何度も羽が行き来するようにリヴァイはハンカチを折る。
『リサが何処で何をしていようとも、俺はお前の近くにいる』
『…でも、リヴァイさんはあの人がいるじゃないですか』
ローザの存在を思い出し胸が痛む。
『あいつとは別れた』
『え…!もしかして、私のせいですか?!』
『違う…。俺はあいつが好きなわけじゃねぇ。昔に知り合っただけで、今回は仕事上仕方なく付き合っただけだ』
同じ女同士だからリサは分かる。
あっちは仕事上だけの付き合いだなんて思っていないはずだと…。
『え…じゃぁ…』
『俺は誰とも付き合っていない。あいつには触りたいと思えなかったな…』
『昔に知り合ったって言ってましたけど…』
『あいつは娼婦だ…。地下街の娼館で働いている』
大人の男性なのだから娼館に行くのは理解出来る。それはそれで少しショックではあるが、リサは嫌な気がしていた。
『リサ、俺が来たのはこのハンカチの礼やローザのことだけじゃない。聞きたいことがあるからだ』
リサは一気に血の気が引いた。