第14章 交わらない思い
『…どうした、リサ。話をするから来い』
『リヴァイさん…ダメですよ?こんな綺麗な人が傍にいるのに…私なんか…気にしたら』
『あぁ?だから、こいつは気にするな。こいつは…』
リヴァイの横にいるローザは、口を尖らせてリヴァイの服の裾を引っ張る。
『ローザさん。リヴァイさんの大切な人とは知らず、すみませんでした』
リサはローザの前まで行き、深くお辞儀をする。
ローザは黙って頭を下げているリサを見ているだけであった。
『リサ、もう顔上げなよ。そこまでする必要ないから』
居てもたってもいられなくなったファーランがリサに駆け寄り優しく背中を摩る。
ファーランは小刻みに震えているリサに気がついていた。
『リヴァイさん。今までお世話になりました。短い間でしたけど…楽しい思い出が出来ました!もう…私は悔いはありません…』
――――さようなら
リサは精一杯の笑顔を見せる。
『は?何勝手なことを言いやがる!…待て!リサ!!』
リヴァイはリサの手を掴もうとするが、歩き出していたリサをするりと掴めず、手だけが空中に浮いていた。
『リヴァイ、俺が追う!』
ファーランはリヴァイの肩をポンと叩くと走ってリサを追いかけた。
『ふぅん、ファーランもあの子が好きなのねぇ』
『…クソッ!』
目の前にある木箱を蹴飛ばし、大きな音を立てて転がった。ローザは階段に座り、追いかけるファーランを見届けた。
『リヴァイが誰の為に何をしているか知らないとはいえ、あんなあっさり『さようなら』なんて、リヴァイ可哀想~!』
クスクスと笑うとリヴァイはローザを睨む。
『そんな顔をしても無駄よ。まだリヴァイの身体は私のモノなんだからね。……その間に、あの子がファーランのこと好きにならなければいいわね、リヴァイ?』
軽い足取りでリヴァイに近づくと、チュッとキスをする。
『――――クソがっ』
リヴァイは袖で口を拭った。