第14章 交わらない思い
『…は?なんでリサがここにいる…。…どういうことだ?』
こちらに気付いたリヴァイは横にいたローザを放って足早に近づく。
ずっと黙ったままのリサの代わりにファーランが口を開いた。
『偶然リサに会ったんだよ。リサはアジトに来たかったみたいで、まぁ俺は用心棒代わりに付き添ったようなもんだ』
なっ?とファーランはリサの肩に手を置く。
『きゅ、急に押し掛ける形になってすみません。……私から、会わないって言ったのに…』
『いや、構わねぇ。……何か用か?』
『あの…えっと…』
たった数日会ってないだけなのに、リヴァイの声を聞くだけでリサは緊張と嬉しさで心臓が早くなる。
目をチラッと見ると真っ直ぐ自分を見ているのが分かった。
『あ、あの…お話が……』
『―――ねぇ!ちょっと、リヴァイ!私を放置とかひどくない?!』
カツカツとヒールの音を鳴らして近付くなり、リサの言葉を遮るように発するとリヴァイの手を握り引っ張る。
『テメェ…、邪魔するな…』
『……リヴァイ、忘れたの?』
『チッ……』
低いトーンでローザを睨むが、リヴァイは舌打ちをするとローザの手を払うのを止める。
握っているというより、握られているに近い。
『あ、あの…リヴァイさん。そちらの方は…』
ギュッと紙袋の取っ手を握る。
『はいはーい!私とリヴァイは付き合ってるの!』
豊かな胸を揺らしリヴァイの腕にしがみつく。胸を当てられているリヴァイは、片手を腰に当てたまま黙って目線をリサから逸らす。
リサの後ろにいたファーランは手を額にやり、ため息をついた。
リサは固まったままで何も言えない。
『あなたは元カノか何かかなぁ?リヴァイって、すっごい上手いでしょ?もう、毎日私潰されちゃって~!私にすごい発散するの~』
『――?!ローザ!やめろっ!!』
ローザはイタズラっ子のように舌を出す。
『クソっ…!リサ、こいつの話は気にするな。俺に話があるんだろ?アジトで聞く…来い』
リヴァイがリサの手を握り連れていこうとするが、リサは動かない。リヴァイが振り向くとリサは口元だけが微笑んでいた。