第11章 伝言と怯弱
『また立体機動装置の練習が出来るのね…』
『よかったな!兄貴がリサの感覚が鈍る前に触らせとけってさ!』
リサとイザベルは家を後にし、イザベルの案内により立体機動装置を使うのに適した場所へと移動する。家々からだいぶ離れた場所に数本の大きな柱の前に2人は立つ。
『そう。リヴァイさんは私を気にしてくれてたのね』
『あったりまえだろ!ファーランも俺もリサに会いたかったんだからな!』
ギュッと抱きしめてくれるイザベルにリサは嬉しくてヨシヨシと頭を撫でる。
『ところで、立体機動装置が2つもあるけどコレは誰の装置?たしか3つしかなかったよね?』
『あぁ、これ?俺のは自分のやつだけどリサのやつのは兄貴のだ!兄貴がリサ用に調整して持たせてくれたんだ!仕事で今回は使わないからってさ』
仕事で忙しい中、自分の為にわざわざ調整かけてくれたと思うと練習も頑張ろうと思える。
アンカーの部分も研がれたばかりと分かるような先になっていた。ベルトの部分もリサの腰にぴったり。
『ファーランがこっそり自分のやつでリサ用に調整かけてたのに、兄貴が夜中に調整してたみたいで、俺のやつを持っていけって言ってさ!あの時のファーランのがっかりようは笑えたなぁ!』
身振り手振りでその時の様子を伝えてくれるイザベルにリサは終始笑っていた。
リサはリヴァイの立体機動装置にそっと触れると、自分のことを考えてくれてたことに嬉しくて装置を抱きしめる。
まるで、リヴァイを抱きしめるかのように。
『あ、リサ!兄貴からの伝言伝え忘れてた!』
『え?リヴァイさんからの伝言?』
リヴァイやファーランの優しさを感じながらリサは立体機動装置の準備をしていく。
『『リサ、なかなか会いに行けなくてすまん。仕事が落ち着いたら必ず会いに行くから、立体機動装置の訓練をしておけ。』ってさ!』
『リヴァイさん…よかった、また会えるんだ』
『あ、それと!『俺の立体機動装置だ。くれぐれも壊すなよ』って最後言ってたぜ。さぁ!訓練だー!』
『あ、あはは…』
リサはリヴァイが睨む姿が目に浮かび背筋が伸びた。