第11章 伝言と怯弱
いつもと変わらない地下街。
リヴァイと最後に会ってから数日経っていた。
『リヴァイさんや皆、今頃どうしてるのかな…。皆に会いたい…リヴァイさん…どういうつもりで私に、あ…あんなことするのかな…?』
リヴァイとのあの行為を思い出し、疼いてしまいそうなるのを抑え、取り掛かっていた裁縫を続ける。
時間がある時、不安やどうしようもない気持ちの時はいつも掃除やおばあちゃんに教わっていた裁縫をして落ち着かせていた。
『あれから会いに来てくれてない。会いに行っていいのかも分からない。私は何だったのかな…』
ファーランの心配事は的中していた。
そんなことは知らないリサはまたチクチクと裁縫を続けた。
『リサー!家にいるかー!?』
『イザベル!?今、開けるね!』
家の扉の向こうから大きな声が聞こえた。
まるで子どもが遊びに誘いにきたような声にリサはクスッと笑うと急ぎ足で扉を開ける。
『久しぶりだな~リサ!』
『イザベル、いらっしゃい!もう、会いたかったんだからね!さぁ、入って!』
相変わらず目がきらきらなイザベルにリサの沈んでいた心が浮く。リサはイザベルの手を握り家の中へと招待した。
『お邪魔しまーす!おぉ~リサの家ん中すっげー綺麗だなぁ!リヴァイの兄貴並だな!』
『…イザベル、リヴァイさんは元気にしてる?』
『げ、元気だよ!兄貴は健康体だから!!』
しまったと言わんばかりにイザベルは両手をバタバタとさせる。
『そう…それなら良かった』
『うん…』
イザベルはリヴァイとファーランから仕事の話をあの晩の翌朝に聞いた。
『―――――ということだ。イザベル、頼めるか?』
リヴァイはファーランにも言ったような出来事を卑猥な部分を除いてイザベルに同じように伝えた。
『わかった!俺も兄貴の依頼なら金なんかいらねぇ!
リサのことは俺に任せろ!』
『ははっ、頼もしい妹分だな!な、リヴァイ?』
『そうだな。イザベル、リサを頼むぞ』
リヴァイはイザベルの両肩に手を置くとイザベルは任せろと歯を見せて笑った。
『リサは何も心配するな!俺がいる!』
『イザベル?よく分からないけど、ありがとうね』