第10章 リヴァイside
『…でもさ、俺も男だから分かるけどリヴァイ…相当辛くないか?』
暫く無言が続き各々酒を嗜んでいると、カウンターに突っ伏しながらボソッとファーランは呟く。
ソファーに座っていたリヴァイは空になった酒瓶を捨てに立ち上がり、カウンターの奥にある木箱に棄てた。
『……辛くないといえば嘘になるな。情けねぇ話、行き場のない感情に自分が腹が立った』
『だから、帰って来た時怖い顔してたのか。もしかして、リサに出会ってからそんな状態でも地下街の娼婦館に行ってないとか?』
『あぁ?そんな場所もう行きたくねぇし、他の奴のなんか触りたくもないな……汚ねぇ。まぁ、クソでもしてたら紛れるだろ』
娼婦館の女の子達のことを思い出すと心底嫌そうな顔をする。情報収集や付き合いで度々訪れていたことがある。優しくしていたわけではなかったが、リヴァイはいつも人気だった。
『ははっ…、ある意味尊敬するよ。リヴァイの事好きな女の子達は悲しむだろうけどね』
『…知るか。俺はリサしか興味がない』
リヴァイはカーテンを開けて見えることの無いリサの家の方を見る。
夜の窓越しに見えるリヴァイの切ない表情にファーランは驚きつつ、居た堪れない気持ちになった。
『そういや、さっきリサに触れてるって言ってたけどリサは納得しているのか?女の子だって辛い時があるだろ…』
『……それなりに…いや、かなり悦ばせてるからそれは大丈夫だろ』
ファーランは飲みかけの酒を吹き出す。
汚ねぇなとリヴァイはローテーブルに置いてあった布巾をファーランの方へ投げる。
『いや、まぁ…お前の腕前は娼婦館でも有名だからな。。杞憂だったな。…あ~俺もリサに触れたいぜ』
『あ゙ぁ?』
『冗談だっての!ってか、リサは誰のものでもないからな!』
リヴァイは仕留めかねない顔をすると、ファーランは冷や汗をかく。しかしファーランの言っていることは確かな為、リヴァイは面白くなさそうに舌打ちするとソファーに荒っぽく座る。
『(リサのことになると怖ぇな。素直になればいいのに…)』