第10章 リヴァイside
『リヴァイの独占欲は分かったけど、そんな関係でリサはどう思うんだろうな。抱かないのにリサには触れる。リヴァイはリサの事…何も思ってないらしいし…』
洞窟でのやりとりを思い出す。
自分はリサのことが好きだとリヴァイには打ち明けたものの、何も思ってないと言っていたリヴァイは確実にリサと距離を縮めている。
只の不器用な発言や行動にファーランは少し苛立ち始めた。
『遊びでリサには近づくなよな。リサはきっと割り切れるような性格じゃないし、今頃自分はどういう存在なんだろうって自問自答してるだろうよ』
『…遊びじゃねぇ。俺なりに大事にしている。だから、リサには抱くつもりはないと伝えた』
『…マジか。ほんっと、お前はモテるくせに女心分かってないよな!』
ファーランは飲みかけの酒を飲み干し、ドンっと音を立ててグラスを置くと、信じられねぇと頭を抱える。
『リサが変な誤解してないといいけど…』
『何か言ったか…?』
『お前の伝わりにくい優しさには苦労するって話!』
目の前で指をさされ、止めろとファーランの手を軽く払い除けた。
『確かに俺は口下手かもしれん。…酒もなくなってしまった所だ。仕事の話をしよう、依頼主は俺だからな、金は弾む』
『ようやく本題だな。俺たち3人の仲だ、金はいいよ。イザベルもいらねぇって言うぜ?使う場所は他にもあるだろうしそっちに回しなよ』
明かりを最小限にしてファーランはリヴァイの前に座る。
『…すまない。イザベルには明日俺から伝える』
リヴァイはここ何日かのリサの家の周りにいた荷馬車のことや、何かメモをしていたこと、リヴァイとリサが移動しても追跡する様子がなかったことを伝えた。
『なるほどねぇ。リヴァイに用があるなら今頃何かアクションがありそうだしな。リサは何か心当たりありそうだった?』
『リサは何も言ってこない、寧ろ誤魔化そうとしているぐらいだ。俺が訪ねてドアをノックする度に怯えてるような感じだしな』
『何かあるね、これは。。ハッキリしない以上多人数だと動きにくいな…』
『あぁ…。金にならない話だ、俺たちだけで動くぞ』
2人は同時に頷いた。