第10章 リヴァイside
バタンッ!
『…リヴァイ、ドアぐらい静かに開けろよ。イザベルのやつ、仕事の準備終わったらそのまま寝たぞ。リサは無事に着いたか?』
『そうか。遅くなって悪い…。リサは送り届けた』
酒を飲みながらカウンターに座っていたファーランの横を通り、そのままリヴァイは酒瓶を一本右手で取りいつもの場所に座る。
そのままリヴァイは酒瓶に口を付けてグイッと飲んだ。
『なんだよ、機嫌が悪いのか?いつも直接口を付けるのは汚ねぇってグラスに入れて飲むのに…』
ほらよ、とファーランはリヴァイのグラスをリヴァイの目の前に置こうとする。
リヴァイは軽く礼を言い、グラスを取ろうとするとファーランはグラスから手を離さずリヴァイの方も見ずに発する。
『なぁ…リヴァイ、もしかしてリサを抱いてるのか…?』
『…あ?何故だ?』
『前も思ったけど、お前に近づいた時に女の特有の匂いがした。それに……それも…な』
リヴァイの服の染みに指をさす。
シワや染み一つでも付くのを嫌うリヴァイが何も気にせずいられる相手なんて、心当たりは一人しかいない。
指をさされた箇所をチラリと見ると、リヴァイ何もないかのようにファーランからグラスを取ると酒を注ぐ。
『ファーラン、テメェの勘違いだ。俺はリサを抱いてはいない』
『んじゃ…それは何だよ。俺は子どもじゃないから、匂いもそれも分かってるぞ』
『だから、抱いてねぇって…。只、あいつの近くにいると触りたくて仕方がないな』
グラスに注いだ深みのある琥珀色の酒を飲む。
『抱いてないけど、触ってるってのかよ…』
『……あぁ』
ファーランは大きいため息をつく。
『俺、リサのことが好きって言ったよなぁ。その俺にそれを言うか〜?』
『テメェが聞いてきたんだろ…。別に無理矢理じゃない』
むしろ悦んでるリサを想像したらファーランは頭が痛くなった。
悦んでいるリサはどんな風か聞いてみたいような聞きたくないような。
『…言っておくが、リサがどんな風になんて教えねぇからな』
リヴァイの口から聞きたくねぇ!とファーランは少し赤面しながらカウンターへと戻った。