第8章 認めるということ
リヴァイとファーランが戻った後は先程と変わらずの様子で立体機動装置の訓練をする。
狙った箇所辺りにアンカーを飛ばすという動作もリサは数回繰り返すとコツを掴み、しっかりとアンカーが刺さるようになる。
トリガーも次第に考えなくても指が動くようになった。
筋肉痛半分、楽しさ半分で夢中になっているとリヴァイによって今日は終わりを告げられる。
『イザベル、ずっと借りっぱなしでごめんね』
『全然大丈夫だぜ!楽しそうに練習してるリサ見てると俺も嬉しい!』
『そうだな。リサはリヴァイの言うようにセンスがあるよ。初日からよく頑張ったな』
ファーランは何か吹っ切れたようにリサの頭を撫でる。
『あ、ありがとうございます、ファーランさん』
思わぬスキンシップにリサは顔が赤くなる。
そんな光景にリヴァイは横目で見つつ、自分の立体機動装置を装置する。
『リサ、今日は疲れただろう。早く帰って休め。家まで送る…来い』
『はい、リヴァイさん。イザベル、ファーランさんまたね!』
差し出されたリヴァイの手に吸い寄せられるように手を添える。
二人に挨拶を済ますとリサはリヴァイに嬉しそうに微笑み、二人は慣れた様子でリサの家路へと向かった。
『―――はぁ、あんな啖呵切ったものの俺に勝ち目ないのは分かってるんだけどね』
『何の話だ〜?』
『お子様にはまだ早い話だ』
何だとー!とイザベルにポカポカ腕を叩かれながら飛び去る二人を見送るファーランは、リヴァイとリサの姿が見えなくなるまで見つめていた。
『さて、イザベル!リヴァイが帰ってきたら仕事の用意するから、さっさと片付けるぞ』
『お?依頼があったんだな!よっしゃー!さっさと片付けるぞー!』
『仕事もあるし落ち込んでいられないな』
リサのときとは違い、わしゃわしゃとイザベルの頭を撫で眉尻を下げながらファーランは笑った。