第8章 認めるということ
『そうかよ。リヴァイ、俺は仲間として信じているから言う。リサを裏切るようなことはしないでくれ。…きっとリサはリヴァイを信じている…』
『――わかっている。俺はお前達と同様にリサを大切に思う気持ちがあるだけだ』
三白眼に鋭さが増す。
『……。俺達と同じ…か。リヴァイ、俺は仕事では根回しでも細かい作業でも出来る。だけど、こういった類の話で回りくどい事は苦手だ。だから、お前に伝えておく』
リヴァイは静かにファーランを見やる。
ファーランの目はしっかりとリヴァイを見据えていた。
『リヴァイ、俺はリサが好きだ。彼女の笑顔は俺が守りたい』
先に行くからと足早に去ろうとするとリヴァイに肩を強めに掴まれる。
ファーランは殴られるのかと歯を食いしばった。
『…んだよ、俺を殴るんじゃないのか?』
『……違う。リサの事を想っているなら頼みたいことがある。地上のやつに精通しているファーランの方が今回は動きやすいからな』
『仕事か?情報を得て動くとなると金がいる。依頼主は…リサか?』
『――俺だ』
『…ほんっと、リヴァイは素直じゃないし不器用だよ…』
掴まれていた肩が離れるとファーランはまた詳しく聞くとだけ言い残し、手をひらひらとさせながらリサたちの所へ向かった。
『…俺も思う。自分たちの立場を分かっていながらも素直に認めれるファーランが羨ましいな。チッ、俺は…クソ野郎だ』
誰もいなくなった洞窟に一人呟くとファーランの後を追った。