第52章 初めましてと再会
段数の多い階段を上り、リサの父親がいると思われる場所へ案内される。
ふと、とある部屋の前でアーヴェンは立ち止まり振り向く。
『どうぞ、リヴァイ様はこちらの客室でお待ちください』
『え?リヴァイさんも一緒じゃダメなんですか?』
『リサ様。お父様が初めて会う御息女が、いきなり男性を連れてくるのは中々酷なことでございます』
『俺は構わねぇぞ。ここでは俺の我よりも爺さんに従ってる方が正しい』
『申し訳ありません。お茶菓子を用意させておりますので、ゆっくりとお寛ぎくださいませ』
『リヴァイさんすみません』
『お前が謝ることじゃねぇ。ほら、親父さんのところに行ってこい』
不安と緊張の色が見えるリサにリヴァイは柔らかく解す。リサの頬に手を当てリヴァイはリサに笑うように促した。
いつまでもここに立っていてはリサが離れる気配がなかったものだから、リヴァイは自ら客室へ入り扉を閉める。
頼れるリヴァイがいなくなるのは心もとないが、腹をくくれとリサは拳を握り振り返った。
*
『……行ったか』
リサが目の前の扉からいなくなる気配を察するとリヴァイは口角を少し上げる。
視線をあげると、丸いテーブルに紅茶のセットと焼き菓子が美味しそうな匂いをさせている。
地下とは違う平和を感じ取れる空気に神経を尖らせるものはない。
『ありがたく頂くとするか』
どかりと座り足を組む。たいしたマナーは知らない。マナーならリサの方が知っていそうだなとリヴァイは思う。
真っ白い陶器に青紫色の花の模様が描かれたティーポット。ティーカップも同じ花の模様がある。
リヴァイはじっとその模様を見つめ、どこかで見たことがある花だと既視感を感じた。
『花に詳しくねぇからさっぱりだな』