第51章 陽が指す方へ
「うーん。落として困ってたからスリをしたってことなのね・・・。分からなくもないけど・・・良くないことだよ?」
「・・・分かってる」
リサが手を差し出すと少年は口を尖らせながら袋を渡す。大切なお金が戻ってきてリサはホッとした。
「姉ちゃん、シーナの人間じゃないのか?」
「まさか!!私は地下街の人間よ?」
「マジかよ・・・」
ほら、私が言った通りと少女は大人しくアーヴェンに抱えられたままいう。危害はもう加えないだろうとアーヴェンは少女を下ろすと少女は巻いていたマフラーを巻き直していた。
「アーヴェンさん、やっぱりこの子達悪い子ではないです」
「・・・リサ様はお優しいですね。私にお任せください。こちらはリサ様からのお気持ちです」
アーヴェンは少年に数枚の金貨を握らせた。
「姉ちゃん地下の人間だってのに・・・一体何者なんだ??」
「まぁ、色々・・・ね!私はリサっていうの。貴方たちは?」
「俺はエレン!シガンシナ区に住んでるぜ!」
「・・・ミカサ。エレンと一緒」
「エレンとミカサね。二人はシガンシナ区って場所に住んでるんだ。ごめん、ちょっと地上の地理はあんまり知らなくて」
ちらっとアーヴェンを見ると、マリアですと教えてくれる。壁の存在ぐらいは知っているリサも成程!と手を叩いた。
「シーナよりも田舎だけどいい所なんだぜ!リサさんもいつか遊びに来いよ!」
「そうね!いつか遊びに行くわ」
2人に会いにね!と頭を撫でると少し照れくさそうにしていた。
「リサさんって・・・不思議な人」
ミカサはぽつりと呟く。
「ところでリサ様」
「はい。何でしょう?」
「・・・・・・リヴァイ様は?」
「・・・・・・・・・あっ」
*****
「おいおいおいおい・・・アイツは待つというのを知らねぇのか・・・」
リヴァイは両手に温かい紅茶を持ったまま、ベンチの前で佇んでいた。