第51章 陽が指す方へ
「うわ・・・凄い顔してる・・・。リヴァイさぁん!!」
アーヴェンと広場へ戻ってきたリサは、リヴァイの表情が見える距離まで近づくと、アーヴェンの後ろに隠れるようにして青筋立てているリヴァイへ近寄る。
手を出されることはないが、リサは何となく居た堪れない。
ベンチに置かれた2つの紅茶なんとも可哀想。
「ほぅ・・・・・・勝手にウロウロして心配させる奴が帰ってきたか・・・。爺さんも一緒とは・・・まさか何かに巻き込まれたとかじゃねぇよな?」
な?と腕を組んだまま、アーヴェンの後ろにいるリサを覗き込む。
ひぇっ・・・と情けない声を上げ、リサはアーヴェンの服を掴むとアーヴェンはホッホッホと笑っていた。
「リヴァイ様、とんでもございません。リサ様は困っていた子ども達に手を貸していただけでございます。たまたまそこに私が通りかかって、ここまでご一緒したまででございますよ」
「たまたま・・・?」
「そ、そうです!!リヴァイさんが心配するようなことは何もなかったです!あ、でも、急にいなくなってごめんなさい・・・」
「・・・・・・・・・はぁ。まぁ、いい。頼むから勝手にいなくなるな・・・心臓に悪い」
眉間の皺が取り、リサの頭を撫でる姿はいつものリヴァイ。アーヴェンのフォローでその場は凌げたが、少し申し訳なく感じる。
子供に対しても容赦はしないだろうと、あの時エレンとミカサをここに戻さなくて正解だった。
エレンに何かあれば横にいたミカサがリヴァイに対して攻撃を仕掛けた可能性がある。幼い女の子のしれたパワーとはいえ、何となくリサはリヴァイに会わさない方がいいと考えた。
「あの、リヴァイさん。私、父に会いに行こうと思います」
「爺さんがいるってことはそうだろうな」
すっかり冷めてしまった紅茶。
リヴァイは1口飲むと、飲むのを止めてしまう。
リサはただ父親に会うだけ。長年不明だった身内のことが漸く鮮明になり会いたくないわけがない。
きっと父親も娘に会いたいはず。
そこを繋がりのないリヴァイが止める権利もない。
「リヴァイさんも付いてきてくれますか?」
「あぁ、そのつもりだ」