第51章 陽が指す方へ
『はぐれるなよ。迷子探しはしたくねぇ』
『子供じゃありません!』
並んで歩く二人は互いに手が触れると、指を絡める。面倒くさそうな顔をして言う割にリヴァイの繋ぐ手は強め。
私とはぐれて困るのはリヴァイさんでしょ?と言いたくなるほど、しっかり握られている。
地下と繋がる階段から歩き出して暫く、リサとリヴァイは人がまばらに歩く大通に出る。
地下の住民は壁際で横たわったりしゃがみこむ人ばかり。
しかし地上での壁際は元気な声で客寄せをする露店で賑わっている。
談笑する主婦たち。走り回る子供たち。
昼から酒を飲んでる陽気な男たち。
全てが新鮮で目が回るほどの光景にリサはにこにことしている。
『そこの姉ちゃん姉ちゃん!』
『・・・へ?私ですか?』
『そうそう!ここらじゃ見ない顔だなぁ!』
おいでおいでと手招かれ、リサは露店へと足を運ぶ。
『す、少し・・・遠いところから』
『そうかい!旅行かな?俺がこんなべっぴんさん忘れるわけねぇな!』
あっはっは!とぽってりした腹を叩きながら店主の男は愉快そうに笑っていた。
悪い人ではなさそう・・・と、リサは露店へともう少し近寄ると、露天は瑞々しい果物がずらりと並んでいた。真っ赤につるんとした表面の皮の林檎。果汁たっぷりそうな柑橘。林檎に似た緑色の皮の果実や見たことがない丸い粒が連なった紫色の果実。
『綺麗でとても・・・新鮮そうですね!』
『あったり前だ!果物なんてのは新鮮じゃねぇと美味くねぇならな!姉ちゃん、良かったら好きなの1個やるよ!』
『え?!そ、それは悪いですよ!』
『いいっていいって!今日は売れ行きもよくて俺も機嫌がいいんだ!・・・なんなら、隣の睨んでる兄ちゃんもいるかい?』
『リ、リヴァイさん・・・』
ずっと黙ったままのリヴァイは警戒心を解くことなく店主を睨みつける。
『隣の兄ちゃんは姉ちゃんのボディーガードだな!ははっ!そんなぼったくったりしねぇよ。俺の美味い果実食べてくれ』
な?と気前のいい店主は大きな林檎を2つ差し出す。ほんとにこの店主は裏がない笑顔でただの行為でしていることなのだろう。
『リサ、受け取るといい』