第7章 縮めてはいけない距離
リサはイザベルにブラウスの上からいくつものベルトを巻いていてもらう。ベルトの締め付けられる箇所にパッドがあるとはいえ、なかなかの窮屈さである。
『こんなに巻きつける必要があるのね。。結構き…ついところもあるし』
グッと締め付けられ言葉が途切れ途切れになる。
『慣れたら何も思わなくなるって!立体機動装置って重力もかかるから体を支える意味では必要なことだからな。まぁ、リサは戦う必要ないから基本的なことだけで大丈夫だろ!』
戦う必要がない。窃盗はもちろん出来る気がしないし、地上にいる兵士みたいに剣を使うこともない。
いつか地上に行くと言っていたリヴァイを思い出し、何も役に立たない自分はきっと置いていかれる。
『ねぇ、イザベル』
『何~?ってリサ!顔色よくねぇけど大丈夫か!?』
急いでベルトを外そうとするイザベルをそっと手を握る。
『体調なら大丈夫!イザベルはもしリヴァイさんやファーランさんが地上へ行くって言ったら付いていくの?』
『もちろん!今はそれが俺たち仲間の目標だからな!』
『……そっか!そうだよね!応援してる!さ、後は腰のやつ巻くだけよね!しっかり付けちゃってね!』
『リサ?』
その頃、リヴァイとファーランは立体機動装置の訓練用に自分たちで作った装置の設置に取り掛かっていた。仲間の情報により、地上の訓練兵が最初に行う装置だという。
『なぁ、リヴァイ』
『何だ』
『なんで、リサに立体機動装置をさせるんだ?リヴァイを信じているけど、リサがコレを出来るようになっても俺たちの仕事にはメリットはない』
『あいつ…リサは、鳥になりたいと言っていた。俺はそれを叶えてやりたいと思っただけだ』
リヴァイは自分の箇所を括り終わるとファーランの横へと移動し、手が止まったままのファーランから紐を取ると柱へ巻きつけた。
『いつまで同じ場所にいられるか分からねぇ。俺たちは地上を目指す。あいつの手は汚れていない、窃盗団の仲間にリサを入れるわけにはいかない』