第50章 それもまた貴方
夜も更けて、賑やかな食卓から静かな食卓へと変わる。
グラス2つと夕食に残った果実酒をトレーに乗せて、そろそろと歩く。
ノックをしようとすると、ガチャリと扉が開いた。
リサが驚いていると、グラスが僅かに触れるガラス音で気づいたというからリサはクスっと笑い、部屋に招かれた。
『・・・残ってた酒か?』
『はい。せっかくなので持ってきました』
リヴァイさんも飲みますか?と聞くとリヴァイは頷く。
ボルドー色で地下街でも値が張る。リサは自分のは少なめにしようと量を減らすが、それに気づいたリヴァイは遠慮するなと言うので、全く同じ量を注いだ。
リヴァイの分を多めにしていたせいで、リサの分を注ぐと丁度瓶は空になる。
『リヴァイさん、乾杯』
『乾杯』
2人は向き合って立ち、チンっと軽くグラス同士を当てた。辛口の果実酒にカッと喉が焼けそうになるが、後からふわりと香る果実がなんともいえない。
リサがちびちびと飲んでいると、リヴァイは数口少なめに飲むと後は一気に飲んでしまう。
ぐいっと手の甲で口を拭う姿は色っぽい。
『よければ私の分も飲みますか?そんなに残ってませんけど・・・』
『リサが飲ませろ』
そっと唇を撫でられ、頬に熱を持つ。
『わ、私が果実酒残す前提で同量注がせました?』
『まさか。そんなまどろっこしい事しねぇ』
早くしろと言わんばかりに唇を撫でられ、リサは少量の果実酒を口に含みおずおずとリヴァイに近づく。
『んんっ・・・』
リサの顔を上に向かせ、零さないように口付け果実酒を吸い上げる。
口の中が空になっても、リヴァイはそのままリサの口の中に残った僅かな果実酒を探すように舐め撫でた。
『この酒は甘いな。もっと飲ませろ』
『こ・・・これ、辛口ですよ?』
『そうか?お前の口に入れて味が変わったか?ほら、全部飲むぞ』
『も、もう・・・。零れたらシミになるので・・・普通に飲んだほうが・・・』
『なら、リサが零さないようにしっかり器になれよ?』