第50章 それもまた貴方
「俺のせいで・・・2人がギクシャクするのは嫌だ」
「もー・・・イザベルのせいじゃないから。気にしないで?」
勝手に怖がっているのは私だけなのだから。と心でつぶやく。
イザベルはもう薬を飲む必要がない。
生理が終わるぐらいにはいつもの元気な姿が見られる。
例の件の片付けも終わったとファーランは言っており、数日後にはリヴァイとリサは通行証を片手に階段をのぼる。
周りに心配をかけてはいけない。
ピンと張られたシーツはリサの心の表した。
*****
その夜、少しだけ夕食は豪華にした。
肉はないけど量だけは何とか用意する。
「リサの料理はうまい!」
「ふふ、ありがとう」
元気に頬張るイザベルを3人は微笑ましく見た。
決して、イザベルの心が癒されたわけではないが目の前のご馳走を食べ、楽しく喋る。
できる限りのことをしてやろうと心に決めていた。
「兄貴、リサ!心配かけてごめんな!もう、大丈夫だから・・・」
「あぁ。イザベルは俺たちの心配せずに暫くは仕事はセーブしろ」
「えぇー!もう元気だって!兄貴~やらせてくれよ!」
「させないとは言ってない。セーブだ」
頬を膨らませ、口を尖らせながらオーバーに怒りを表現する。そんなイザベルを見て、ファーランはククっと笑っていた。
──うん。やっぱり皆揃ってこういう雰囲気がいい。
いつまでも怖がっている場合ではない。
「ねぇ、リヴァイさん」
「・・・何だ?」
「・・・今夜、お部屋行ってもいいですか?」
「好きにすればいい」
「はい。また、後で行きますね」
リヴァイがリサの顔を見ることはなかったが、声色は柔らかい。来てもいいとリサは解釈した。
時間も経った。
きちんと向き直そうとリサはキュッと自分の手を握った。