第50章 それもまた貴方
あれから数週間が経った。
イザベルの件やリヴァイとリサのこと。全てが落ち着くまでは地上へ上がる試みは保留となっていた。
「リサ!!来て!!」
イザベルがリサを呼ぶ。
リサがパタパタと走っていると途中リヴァイとすれ違い、頼むと言われ頷く。
避妊薬を数回に分け飲んでいたせいでイザベルは免疫が落ち、体調を崩しやすくなっていた。
無理をさせる訳にもいかず、イザベルは自室で過ごさせている。
「イザベル入るよー?どうしたの?お腹空いた?」
「・・・・・・リサ、これ・・・」
ノックをして入るとイザベルはベッドに腰掛けていた。
少し申し訳なさそうに、これ・・・と指をさす。
「!!!イザベル・・・生理きたのね!!」
「みたいだな・・・。ごめん、シーツや服汚した」
「そんなの全然いいよ!!良かった・・・薬が効いてたんだ・・・良かった・・・。タオルとか持ってくるから、もう少し待ってて!!」
イザベルに抱きつこうとしたが、もたもたしているとイザベルも色々気持ち悪いだろうとくるりと反転して浴室へ向かう。
温かい湯、石鹸、タオル、テキパキ用意をしているとファーランとリヴァイが遠目から見ていた。
とりあえず親指を立てたら、リヴァイは頷き、ファーランは胸を撫で下ろす動作をしていた。
良かった。
その言葉一択。
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「リサ、ごめん・・・こんな世話までしてもらって」
「女の子同士でしょ?気にしないで」
「・・・なぁ、兄貴と仲直りした?」
シーツを取り替えているとイザベルが俯きながら尋ねる。あの日のことを何となくは察しているのだろうとリサは感じる。
返り血の付いたリヴァイの服が捨てられ、イザベルが目を覚ますと2人は少しぎこちない。
会話がゼロではないにしろ、口数は減っていた。
「・・・喧嘩なんてしてないよ。仕事が忙しくてゆっくり離す機会が少ないだけ」
シャーシャーとシーツの皺を伸ばす。
リヴァイはいつも通りにしているだけで、話す機会を減らしているのはリサの方なのは自覚している。
イザベルには言わないが、一緒に寝ることもしていない。