第1章 陽の当たらない場所
『いつもと変わらない風景ね。いつか地上に上がれるのかな。。』
天井の落ち抜けた箇所から漏れる、明るい光に目を向ける。
そっと目を瞑り、一歩を踏み出す。
『わ~!!どいてどいて!!』
『きゃぁ!』
何かにぶつかり、思わず大きな尻もちをつく。
『いたたたっ。。』
腰回りを擦りながら片目で見ると、周りにはパンや芋が転がっていた。
『ご、ごめん!急いでて俺よそ見してた!大丈夫!?』
『うん。私こそよそ見してたから。。そっちこそ大丈夫?』
赤髪で目がくりっとした女の子は心配そうにリサにかけよる。身長や歳もリサと同じぐらい。リサは芋を拾い、女の子が落とした今にも破れそうな麻布の袋に戻してあげる。
『いたぞ!あそこだ!!返せ!盗賊ヤロー!』
『仲間もいるぞ!!』
数人の男たちが物凄い形相で走ってくる。
『え?盗賊?仲間?』
リサがきょとんと周りを見渡すと二人しかおらず、他の住民は家の中に隠れ覗き見していた。
『やっば!!ここまで来ちまったよ!しかも君まで仲間と思われてるし!』
『え、意味がわからな...』
リサが言い終わる前に赤毛の女の子は腰につけてる複雑そうな装置をガチャガチャと鳴らす。
『あー!やっぱ調子わりぃ!兄貴の言うとおりにちゃんと確認しとけばよかった!仕方ねぇ!』
こっち!!と、リサはグイッと手を引っ張られ走り出す。
『巻き込んでごめんー!君、名前はー?』
『わ、私はリサ!貴方は?』
『俺、イザベル!宜しく!』
手を引っ張るように走るイザベルは後ろを振り向きながらニッと笑った。