第49章 通行証と髪留め
リサはイザベルの気持ちが少しでも落ち着くよう抱きしめる。リサは服を着たままだったが、気にしている場合ではない。
あまり身長差の無い2人はお互いわんわん泣いた。
『リサ、入っていいか・・・?』
『ファーランさん?はい、どうぞ』
シャワーで体を洗った後、イザベルは心身ともに疲れリサのベッドで寝ていた。
イザベルが心配でファーランはリサの元へ訪れる。
『・・・イザベルは寝てるのか。これ、避妊薬。さっき用意してきたからイザベルが起きたら飲ませてくれ・・・。出来るだけ早いうちに飲んでほしいから・・・少し休ませたら起こしてくれるかな?』
『わかりました。意味があるか分かりませんが、できる範囲で掻き出しておきました』
『リサが・・・?』
『はい。イザベル、自分でしようとしてましたが・・・傷か付きそうだったので・・・』
医学的な知識は一切ないが、リサはイザベルのナカを掻き出した。ほんとうは恋人がいればお願いしたところだが、イザベルはそういう相手がいない。
『そうだったのか・・・リサにも大変な思いさせてごめんな』
『いえ。私よりもイザベルの方が大変ですから・・・』
『本当に・・・リサがいてくれて良かった。ところで・・・それは?』
リサの膝の上に転がる糸や針。
『イザベルの髪・・・少し短くなったから・・・結びやすいように小さめのシュシュを作り直してるんです』
以前作ったお揃いのシュシュ。
片方は切られた髪と一緒に落ちてしまってのだろう。
同じデザインで少し小さめのシュシュを新たに作り直していた。
『きっとイザベルも喜ぶな。もし、俺に何かあったら俺にもミサンガ作り直してくれるか?』
『ファーランさん、縁起でもないこと言わないでくださいよ・・・』
『・・・だな!これが切れる時は俺の願いが叶ったときだ!』
『そういうことです!・・・・・・よし、出来た』
プチンと歯で糸を切ると、イザベルのシュシュが完成した。そして枕元に2つのシュシュを置いて、裁縫道具を片付ける。
『・・・ところで、リヴァイさんはどうされたんですか?』