第49章 通行証と髪留め
その日もリヴァイは仕事に出ていたが、リサが夕食を作る日は出来るだけ間に合うように帰っていた。
しかし、面倒なことがあると時間を過ぎることもある。
『くそっ・・・やっと帰れたな。漸くしっぽを掴めて・・・って・・・お前ら何してる?というか・・・ファーラン・・・』
リヴァイは声のトーンが低くなる。
というのも、何故かリサは泣いていてファーランが肩を寄せていた。
リヴァイに気づいたファーランは手をパッと離し、無実だと首を横に振っていた。
いくらファーランがリサを好いているとはいえ、リヴァイから奪うつもりもなく、ましてやリサを泣かすようなことはしないのは百も承知。
リヴァイが帰宅しているにも関わらずリサは顔を手で覆ったまま泣いている。ファーランはそっと離れ、代わりにリヴァイがリサを抱きしめる。
『・・・おい、リサ。どうした?何があった』
『イザベルが・・・』
『あ?』
『イザベルが帰ってこないんです・・・』
『イザベル?』
いつもなら誰よりも早く帰り、1番にリサの料理を食べようとするが、食卓は出来上がった料理がそのまま。
『昼過ぎ頃、1度帰ってきてて・・・それで私にこの髪留めをプレゼントしてくれて・・・』
パチンと髪留めを外すとリサの髪ははらりと落ちる。軽くリヴァイは整えてやると、リサの髪留めを見て驚いた。
『おいっ・・・これは宝石じゃねぇか!たぶん、本物だ』
『リヴァイさんが言うならそうなんでしょう。地上へ上がる私に少しでもお洒落して欲しいって贈ってくれて・・・それでイザベルの好きな物作るからって言ったら・・・早く帰るって言ってたのに・・・』
泣きそうな語尾にリヴァイは分かったから・・・と優しく抱きしめる。
ファーランは苦い顔をしてリヴァイを見るが、リヴァイも下唇を軽く噛んでいた。
2人は嫌な気がしていたのだ。
『とりあえず、俺とファーランで探すからリサはここで・・・・・・』
バンッッ!!
大きな音が聞こえると3人は一斉に扉の方を見た。
『『『イザベル!!!』』』