第46章 金色の鍵
『クイーンサイズのベッドの真ん中にわざわざ、書いた持ち主あるいは託された者がこんな場所に隠したわけは、単純に見つかりにくいからだ。そして、筒がここにかある事を確認出来れば、人は単純に安心する。中身があるかどうかなどわざわざ確認しないだろう』
『た、確かに・・・。狭いし取りにくいし・・・地べたを這うぐらいじゃないと見つけれないかも。私が転ばないと気が付かなかったぐらいですもんね』
だからお手柄なんだ、とエルヴィンは微笑む。
憲兵がこの建物に入ってきて暫く時間が経った。
各部屋を詮索しているのか、オレグの部屋に来るまで時間がかかっているようだ。
元々この部屋は鍵がかかっていたのは、憲兵も知っているはずでまさかこの部屋にいるとは思っていないのだろう。
それなら今の間にリサは探し物をしたい。
リサは部屋を見渡し、反物が入っていそうな戸棚の前に立つ。観音開き仕様でリサは両手で取手を持つと勢いよく開けた。
ガシャーーーーーーーン!!!!
『??!!?!?!』
リサが扉を開くと大きめの花瓶が棚とリサの間に落ち、大きな音を立てて粉々に割れた。
『ご、ご、ごめんなさい!!』
『・・・怪我はしていないようだな。気にするな、元々この花瓶は倒れていたんだろう。たが、今ので下にいる憲兵に気づかれたかもな・・・』
『ど、どうしよう・・・私がドジ踏んでばっかりだから』
顔が青ざめるリサにエルヴィンは大丈夫と肩に手を置く。
エルヴィンは衣装棚だと思われる棚を見つけると無造作に服を漁る。フードのついた黒いコートを見つけると、リサに着させ顔をフードで覆う。
そしてエルヴィン自身もフードを被った。
こちらに来なさいとエルヴィンにリサの手を引くと少し細めの衣装棚にリサを抱えて乗せ、その横に覆い被さるようにエルヴィンは身を潜めた。
『エルヴィンさん・・・、顔が近い・・・』
『すまない、我慢してくれ。ここの衣装棚なら部屋全体を見渡せる。少しだけ隙間を開けて様子を見よう』
つんっとエルヴィンが中から指で押すと、扉は数センチ開く。
リサは呼吸を止める勢いで口を押さえた。