第46章 金色の鍵
『エルヴィンさん・・・私が中に入って取りに行きましょうか・・・?』
大きな体を半分ベッドの下に潜らせ、ベッドの下に括り付けられている筒を取ろうと試みるエルヴィン。
狭い隙間で窮屈そうにしているエルヴィンにリサは心配そうに声をかけた。
『いや、大丈夫だ・・・。こんな埃っぽいことをリサにさせられない。もうすぐ届くから大人しく待ってなさい』
『だから紳士過ぎますって・・・。地下街の女の子は埃まみれなんて当たり前なのに』
『そんなことないだろう。君からは清潔感を感じるよ』
それも意中のお相手のせいかな?と茶花されるとリサは黙る。リサ自身が綺麗好きなのとリヴァイの影響もあって、身だしなみは特に気をつけている。
リサはエルヴィンさんの観察力は凄いなぁと他人事のように思う。
『私の捜し物はどこにあるんだろ・・・』
『・・・よしっ!取れた!・・・リサ、何か言ったかな?』
『あ、いえ・・・何でもないです!わっ・・・エルヴィンさんの背中に埃が・・・』
少し背伸びをしながらリサはエルヴィンの肩や背中に付いた埃を払う。あの人よりも大きな背中だなぁとここでもリヴァイを思い出す。
──私って、ほんとにリヴァイさんが好きなのね
自分で思って自分に可笑しくなって、リサは吹き出しそうになる。
早く、会いたいな。
エルヴィンの背中を払いながらリサはそんな事を思っていた。
『リサ、ありがとう。随分と優しい手つきだったが、何かを考えていたのかな?』
『な、何も考えてません!そ、それでその筒の中身はどうでしたか?』
リサがエルヴィンの背中の埃を払っている間、筒の中身を確認していたエルヴィンはにこっとリサに笑いかけた。
『ビンゴだよ。私が探してたものだ』
『良かった!!・・・あ、あれ?筒、元に戻すのですか?』
書類を小さく畳むとエルヴィンは服の内側に仕舞い、筒だけ元の場所に戻す。
『単純な人間の心理だよ』