第46章 金色の鍵
『エルヴィンさん、どうしよう・・・。ここに入ってるのがバレたら・・・捕まりますよね?』
『・・・ここはまだ立ち入り禁止の場所だ。きっと我々が入るところを誰かが憲兵に告げたのだろう。・・・建物内なら袋の鼠だからな』
リヴァイといい、エルヴィンといい、場馴れをしているせいか緊急事態が起きてもいつも冷静でいる。
リサも顔にはあまり出さないが、身体は強ばり出す。オレグの自室しかないこのフロアでは、この階に上がってきた時点で彼らはここに真っ直ぐにやってくる。
内側から鍵を締めたとしても他に行く宛てはない。
──立体機動装置があれば・・・
リサは軽くなっている腰周りに触れる。以前リヴァイが割った窓から逃げることも可能性だったはず。
──でも、私より体が大きいエルヴィンさんを抱えていくなんて・・・どのみち無謀ね
エルヴィンは顎に手を置いていて何かを考えているようだった。
探し物は未だ見つかっておらず、リサを連れている為突破することは不可能。
極秘に動いているだけに、憲兵に捕まってエルヴィンはともかくリサが尋問されるようなことは避けたい。
───立体機動装置を付けてくるべきだったか
リサにエルヴィンは何者か伝えていない中で、立体機動装置の存在は無視出来ないだろうと装着してこなかった。ある程度の権力があるとはいえ、トップではないエルヴィンに憲兵をそこまで命令出来る権限などない。
『さて、どうしたものか・・・』
『あ、あのっエルヴィンさ・・・きゃぁ!!』
『リサ?!大丈夫か?!』
『いったた・・・だ、大丈夫です・・・』
落ちていたガラクタに足が躓きリサはベタンっ!と盛大に転んだ。珍しくドジを踏んだリサは恥ずかしほうに苦笑いで顔を上げる。
起き上がろうとすると、ふいにベッドの下に視線がいく。
『筒・・・?エルヴィンさん・・・、ベッドの下に何か筒がくっつけられてます』
『・・・筒?・・・もしかすると、もしかするかもしれないな』
エルヴィンはリサの手を取り起き上がらせながら、にやりとした。