第46章 金色の鍵
『人類の・・・未来?』
明日の命さえどうなるか分からない地下の住民には、人類の未来という果てしない規模の未来など想像できるはずもない。
見つけた根菜類を持って帰る。
ミッシェル家をどうしようか。
リヴァイとの未来・・・は。
リサにはこれが精一杯。
『リサ、君にも大切な人や友人がいるだろう?』
リヴァイを筆頭に次々と仲間や友人が頭に浮かび、コクコクと頷く。
『その大切な人達が、リサ・・・君の目の前でどうしようもない相手に殺されたらどうする?それだけじゃない、たまたま目があった人、すれ違った人、何かの縁で出会った全ての人が殺される未来だ』
『そ、そんな恐ろしい事が・・・あるんですか?一体何が・・・』
『・・・すまない。怯えさせるつもりはなかった』
両手を抱えて震えるリサの手を握る。
『でも、エルヴィンさんが言うことですから・・・きっと理由があるわけですし・・・その”ある書類”がとても重要なのは理解しました。そんな重要な書類を探すお手伝いだなんて・・・ますますゆっくりしていられません!』
いつの間にか体の不快感は消えていて、リサをスっと立ち上がる。気合い入れて探します!と腕を捲っていると、エルヴィンに口を押さえられる。
『んー?!』
『シッ・・・。リサそのまま静かにしていてくれ』
エルヴィンは眉間に皺を寄せると、窓の方へ歩いている。リサは袖を捲る状態のまま止まっていて、エルヴィンの動向を目で追いかていた。
『・・・・・・リサ、どうやら憲兵がこの建物に入ってくるようだ。タイミングが悪いな・・・』
リサはまたあの惨状が繰り返されるのかと、背筋が凍った。