第45章 探し物
『ふむ・・・一見するとただの倉庫といったところか』
ランプを持つエルヴィンの腕が上下する。
保存が効く芋に缶詰。既に傷んでいる果物もあり、少し腐敗臭がする。リサは自分のハンカチで口元を押えた。
あまり衛生的とは言い難いそこにリサは早くも退出をしたくなるが、目的の探し物の為に度々息を止めながら見回る。
『エルヴィンさん、よくこの臭い平気ですね・・・』
『まぁ・・・腐敗臭というか・・・生臭いといった臭いは嗅ぎ慣れているからな』
『それも仕事の一環ですか?エルヴィンさんの仕事がますます謎ですね』
『本職以外にも色んな事をしているよ。秘密の調査だからあまり探りを入れないでくれると助かる』
『ご、ごめんなさい』
『いや、謝るほどのことではないよ。話せることは話すから気にしないでくれ』
リヴァイも仕事の話をする時があればしない時もある。秘密事項が多い時や、リサにまで危険が及びそうな内容なら尚更。信頼していないから話さない訳では無いということを知っている。エルヴィンもきっとそういう事なのだろうと、リサは謝罪を口にした。
元々信頼していないのならば、今回の探し物だってリサに頼まないはず。
『どうやら・・・ここにはないようだ』
『・・・みたいですね。あー・・・でも、エルヴィンさん少しだけお時間貰ってもいいですか?』
少し言いにくそうにリサはエルヴィンを見上げる。
エルヴィンは優しく、どうぞ?と笑うとリサは失礼します・・・とエルヴィンを横切り、大きな麻袋へ目掛けて歩く。
リサが暗がりで躓かないように足元を照らしてやると、後ろを振り向いてペコっとお辞儀をした。
『その麻袋には何か入っているのかな?』
『・・・・・根菜類です。ここに置いていてもいつか腐るので、それなら貰って帰ろうかと・・・。これって盗みですかね?』
『本来ならどんな物でもそういった行為は認められないが・・・地下街では食糧は貴重だからな・・・頂きなさい』
『良かった!!ありがとうございます!』
よその建物から食糧を頂く。
リサは自分が窃盗団の一員な気がして少し嬉しくなった。