第45章 探し物
『や・・・え・・・、エルヴィンさんと一緒に?』
にこやかにリサを見下ろすエルヴィン。
リサの瞳は驚きと戸惑いが隠せず、むしろ困っている方の部類。つい先程、リサが好意を持っている相手がいると聞いたばかり。
それなのに聞いた。
『やはり、困るかい?』
『エルヴィンさんが嫌ってわけではないんです。でも・・・私は・・・私の家は地下にあるんです。大切な人たちがたくさんいます。・・・きっと、その人がいる限り私は地下街から離れることはありません』
アーヴェンにもついこの間断ったばかり。
それなのに今度はエルヴィンからも誘われる。エルヴィンの意図はリサには分からないが、こんなにも周りが変わりだし、そして何かがリサを地上に上げようとしている。
『はは、そんな顔をしないでくれ。君を地下街に埋もれたままにするのは勿体ないと思っただけだよ。さぁ、探し物の続きをしようか』
エルヴィンは先に降りるから安全なら声をかけるとリサの方を振り向かずに階段を降りて行く。
『私って・・・そんなに地下にいちゃいけないの?』
ミッシェル家のことをふと思い出す。母はリサしか子どもを産んでいない。父に兄弟がいたのかは知らないが、もし父だけならその後は一体誰がミッシェル家を継ぐのだろうか。
祖母の腕前はアーヴェンから聞いているし、一緒にいたリサも間近で見ていたから分かる。
”地上へ上がりません”
アーヴェンや父はリサの意志を尊重すると言ってくれた。
リサはリヴァイといたい気持ちは変わらないが、しかしそれでいいのかも分からない。
頭の隅には、行かなければならないと思う自分もいる。
リヴァイに相談しても答えは教えてくれない。
リサの人生に関わることであるが故、リヴァイも自分で判断させようとするだろう。
少し先のランプの灯りが揺れた先で、エルヴィンがリサを呼んだ。