第45章 探し物
『リサ、この麻袋は入口近くに置いておくよ』
『すみません・・・ここまで運んでもらって・・・』
『レディに重たい物は持たせられないだろ?リサがよければ私が自宅まで運ぶよ』
重さのある根菜類を1人で立体機動装置を使って運ぶのは最初から諦めていた。1度アジトへ戻ってから、リヴァイかファーランに頼む予定でいたリサは慌てる素振りを隠して、大丈夫ですと笑って誤魔化す。
『そうか?私ならともかく君には少々重い気がするが・・・』
あくまで親切心で心配してくれているエルヴィンに、どう言えばいいのか頭を捻らす。
『あっ・・・、それならエルヴィンさんも何個か持って帰りませんか?それなら少し軽くなります!』
エルヴィンが芋を欲しがるかどうかは不明だが、リサはエルヴィンをアジトに連れていくことは回避したい。
大きな麻袋の上口を開けてリサは片手を突っ込み、ガサガサと芋を漁る。
『・・・・・・・・・ん??』
『いや、リサ・・・気持ちはありがたいが・・・私は芋は・・・・・・』
『エルヴィンさん・・・・・・?・・・なんか入って・・・・・・これって・・・鍵??』
片手を麻袋から抜くと、リサの指に挟まれた金色の鍵が現れる。
『リサ、お手柄だよ。それはどこかの部屋の鍵だろう。まさかそんな所に入ってるなんて、誰が思うだろうか・・・。リサは強運の持ち主だ』
『如何にもっていう感じの鍵ですね。・・・しかも、この鍵・・・よく見たら知ってる鍵です』
エルヴィンはさすが掃除婦なだけあると賞賛してくれるが、リサからすれば思い出したくない部屋。
やっぱり違いましたと言っても、きっとエルヴィンは怒ったりしない。そしてドアを一つ一つと鍵を挿す作業になるだけ。途中で帰らないといけないと言えば、素直に気をつけて帰るようにと言われるだけ。
でも祖母の形見の反物は見つかっていない。
『この鍵はオレグ・ロヴォフの自室の鍵です』
リサは腹を括った。