第45章 探し物
地下倉庫に下りる前にリサは灯りを用意しなくちゃと、カウンターの戸棚からランプを取り出す。埃が被っていたランプにふぅっと息をかけると、思っていたよりも埃が舞い上がり少し噎せる。
エルヴィンに心配されてしまうが、大丈夫ですと笑うと今度こそ地下倉庫へと向かった。
『・・・あれ?鍵がかかってる』
『地下倉庫なんだから鍵がかかっているのは普通では?』
『そうなんですけど・・・いつもは見張りがいたのでかかって無かったんです。地下は冷えていて保冷には良かったのですが、なにせ窓もないので湿気がこもるのを防ぎたかったようで時々ドアを開けていたんです』
リサは当時のことを思い出してみる。
地下街では食料は大変貴重である。見張りをつけて食料を守らせるのはオレグがいつもしていたこと。
そこそこの大金を渡していたようで、見張りも不穏な行動を取ることはなかったとか。
オレグも中々勘のいい男だったようで、捕まる前に施錠していたと思われる。
食料庫には番人がいて、いつもは鍵が開いていた。
そして今は鍵がしまっている。
これはどういう事なのかとリサは、うーんと顎に手を置いた。
『ははっ、難しい顔をしているな』
『す、すみません・・・ちょっと考え事をしていました。エルヴィンさん、実は私・・・ここの鍵のある場所を知らないのですよ』
『そうか・・・では、少し灯りを拝借するよ』
リサからランプを預かるとエルヴィンは大きな体を屈み、顔の横にランプを近づけると片目で南京錠の穴を覗く。
何かを呟きながら穴を覗くエルヴィンに、リサは後ろで静かに待機する。
『・・・リサ、灯りをこの位置のまま持っていてはくれないか?』
『・・・?わかりました』