第45章 探し物
『随分とまた埃だらけになってる・・・。ハンカチで顔を巻いたほうがいいかなぁ』
立体機動装置をいつもの場所に置かせてもらうと、リサは人目を避けるようにして目的の建物に入る。
数日ぶりに訪れたそこはさらに埃が舞い、地下街らしい建物と化していた。薄暗くとも辛うじて周りは見えていて、受付のカウンターを見下ろす。
『・・・・・・どこにあるのかしらね』
『何がかな?』
『び、びっくりした!!・・・エルヴィンさん?!』
『リサ、久しぶりだね。約束を守ってくれてありがとう。はは、驚かせてしまって悪かった』
背後に人の気配を感じるといつの間にかエルヴィンが立っていた。リヴァイよりも大きな体で突然声を掛けられ思わず体がびっくりしてしまう。
前回会った時と同じようにエルヴィンは長めの黒のコートを着ていて、フードを取ると優しく微笑んでいた。
『いえ、私もぼーっとしてました。今日はお約束の日ですから、頑張って探しましょうね!』
『リサは頼もしいな。では・・・どこから探るか・・・、確かこの店は地下もあったと聞いているがリサは知っているかい?』
『地下・・・?あぁ・・・、そういえば食料をしまう倉庫代わりの地下があったような気がします』
『・・・君はここの店を知っているのかい?』
あたかも地下倉庫の存在を知っているかのような口振りにエルヴィンはじっとリサの顔を見る。リサはしまった!と指がぴくっと動いてしまうが、リサの表情は変わらぬまま。
『そうなんです。実はここの掃除婦をしていたことがありまして、そのせいでこの建物の内部を把握していたんです』
『・・・成程。それなら尚更、リサに案内してもらうのは最適だな。では、その地下倉庫に案内してもらってもいいか?』
リサの言葉を信じたエルヴィンにリサは胸を撫で下ろす。リサはすぐに返事を返すと、エルヴィンはレディファーストといわんばかりに腰を支え、リサの行く先をエスコートした。
───エルヴィンさん、すっごく紳士的過ぎて困るわね・・・