第43章 迎え
『リヴァイ様がいればリサ様も安心でございます。しかし、リヴァイ様とて”人類最強”では”ない”のです。何があるか分かりません。なので、これは保険みたいなものです。何かあればご連絡ください。私が対処いたしますので』
『はっ!やっぱ抜かりのない爺さんだ。いいだろう、これは俺が預かっておいてやるよ』
両手で渡してくるアーヴェンに対してリヴァイは腕を伸ばしアーヴェンから奪い取る。
朱い朱印に複雑な印文。簡単に複製出来なさそうな文字にリヴァイはより現実味を帯びる。
自分の力不足を認める時以外は広げたくもないと思いながら、小さく畳んでポケットにしまった。
『さてリサ様、随分と長居をしてしまいました。私はそろそろお暇させて頂きます。お飲み物やサンドイッチご馳走様でした』
『あ・・・もう帰られるんですね。どうぞ、お父さんに宜しくお伝えください。それと・・・ごめんなさいって』
『はい、かしこまりました。リサ様が思うように生きてください。私やディック様はリサ様の幸せを願っております。お困り事がありましたら、今回のことは気にせずいつでも頼りにしてください』
アーヴェンは椅子から立ち上がり、軽く身嗜みを整え絶やさない笑顔でリサに笑いかける。リサに罪悪感が残らないようにするアーヴェンの気遣いだ。
リヴァイへもリサのことをお願いしますと、先程と同じようにアーヴェンは笑う。リヴァイは単調に、あぁと軽く流した。
『リサ様、リヴァイ様・・・いずれまた近いうちにお会いしましょう』
******
『・・・・・・色んな話聞きましたね』
『全くだ。予想をはるかに超えた話だったな。・・・話が詰まりすぎて最初の話覚えてねぇ・・・』
『え!!?』
『・・・・・・冗談だ。ばあさんの事も、リサの両親のことも・・・リサの素性についても覚えてる』
───本当に良かったのか?
そんな風な視線をリヴァイはリサに送ると、リサはリヴァイにぎゅっと抱きついた。