第43章 迎え
俺たちのことは構わず行けと言えば済む話。
そんな短文を言えばいいだけなのに、喉を紅茶で火傷をしたからと言い訳にてしまいたい。
リサを後押しをするのはリヴァイの役目。
アーヴェンはそう望んでいる。
『リヴァイさん・・・私は・・・』
──────行くな
『アーヴェンさんと一緒に・・・』
──────────行くな
『俺はリサの判断に任せる』
────────────リサがいるなら、俺は苦しい地下街でも構わない
『リヴァイさんは・・・私がいなくなっても平気?』
──────平気なわけあるか。お前がいなくなったら、人を殺してしまうような男に戻ってしまう
『リサの好きにすればいい。もしリサがいなくなれば今までの日常に戻るだけだ・・・お前がいない生活にな』
───────耐えられるわけがねぇ。情けない本音が言えない俺を許せ。こんな時、あの二人がいてくれたら・・・。
『わかりました。アーヴェンさん、私決めました』
一瞬の静寂。
『アーヴェンさん、お父さんにお伝えください。リサは行きませんって・・・』
リサがどのような答えを出すのか知っていたように、アーヴェンはわかりました・・・と微笑む。
珍しく緊張したのか、動揺していたのかリヴァイの手の平は汗ばんでいた。
『リサ、いいのか?お前の親が生きていたんだぞ?』
『いいんです。お父さんに会ってみたいのは少しありますが、でも・・・やっぱり今の私はここにいたい』
そう言ったリサの笑顔に嘘は感じられない。リヴァイを想い、仲間を思うリサの笑顔は美しい。
アーヴェンはリサを連れて帰るのは不可能と感じ、自分のメモ用紙に万年筆で連絡先を記す。
そしてミッシェル・クララの印を押した。
『こちらの用紙をリヴァイ様に預けます』
『あ?何で俺だ?リサに渡せばいいだろう』
『もし・・・リヴァイ様がリサ様を守れない又は守れなくなったら、こちらにご連絡ください』