第43章 迎え
『迎えって・・・私をですか?』
アーヴェンはにっこり笑うがリサは笑えない。リヴァイはアーヴェンが来た理由を分かっていたが、リサは微塵にも思っていなかった。
父と母と祖母の話を聞いた。
色んな感情が心で動き回ったが、リサからしてみれば迎えなどと言うのは”今更”だ。
今となればリサはリヴァイ達と出会い、辛かったことも嬉しかったことも乗り越えた。
祖母がいなくなってからはリヴァイ達がいてくれたら幸せを感じる。
『アーヴェンさんは・・・・・・私の意思を尊重してくれるのですか?』
『もちろんでございます。リヴァイ様にも言いましたが、リサ様の意思が1番でございます。無理矢理・・・というのは私には出来ません』
いつの間にリヴァイとそんな話をしたのだろうかと、リヴァイを見れば思っていたことが通じたのか、ついさっきだと答えた。
『しかし、リサ様覚えておいてくださいませ。ディック様は貴女様に会いたがっています。生まれて1度も我が子に会えていないのは親心として辛いものです。また・・・ご自分の力不足だったこともディック様は理解されてますからこそ、リサ様を尊重しているということを忘れないでください』
『はい・・・あ、あのアーヴェンさん!も、もし私がお父さんの元に行くって言えば・・・リヴァイさん達も一緒に行けますか?!』
『おい、俺たちのことは考えるな』
『リサ様申し訳ありません。申し上げにくいのですが、リヴァイ様方は窃盗団でございます。そのような方々とミッシェル・クララの後継ぎのリサ様と接点があるというのは世間的にマイナスイメージになります。オレグ・ロヴォフ様との件もございますからね』
『そ、そんな・・・。リヴァイさん達と離れるだなんて・・・私には・・・』
恋人でも夫婦でもない。
縛るものは何も無い。
リヴァイはこうなる事をずっと心の奥底で分かっていた。
リサの身嗜み、仕草、女性としての能力、才能。
どれも地下街の女にあてはまらず、不自然だった。