第42章 存在の大きさ
『いやはや・・・思わぬ接点で驚きましたな・・・。私もその情報は初めてお聞きしました。リサ様とリヴァイ様はもうとっくの昔にお会いしていたのですか・・・。縁とは不思議です』
『・・・そうだな。俺も思わず取り乱した。母さんが死んだのはどうやら地下街の流行病だったらしい。リサの母親も・・・もしかして』
『たぶん、そうだと思います・・・。記憶が曖昧ですが、おばあちゃんが言ってたと思います』
『・・・ってことは、リサは知らなかっただけで・・・リサの母親と婆さんは接点がずっとあったってことか・・・』
え・・・?とリサはリヴァイと目が合う。
リサはいつの間にか、おばあちゃんと暮らしていたと思っていたが、幼い子どもがいていつの間にか傍にいる大人が変わるっていうのは思えば可笑しな話だ。
おばあちゃんと住む前はもっと埃っぽくて、隙間風が吹くような質素過ぎる程の家だった。
言ってしまえば地下街では”普通”の家。
顔はぼんやりとしているが、記憶の片隅で笑いかけてくれる笑顔。
痩せ細って柔らかみは少なくても、触れる肌は温かい。
――――リサ。おばあちゃんと暮らしなさい。素敵な大人になって、素敵な恋をしてね。愛しているわ。
思い出せない声なのに、動かされる口で読み取れる言葉。
ベッドに横たわったままの母。
少しカサついた皺のある手が小さな手を優しく握る。
――――リサ・・・お母さん、ゆっくり眠りたいそうよ。これからは、おばあちゃんと暮らしましょうね。
扉が閉まる前に振り返ったら母の目には涙が溢れていた。
涙?よく・・・分からない。寝たいだけよね?
すぐ帰るよ?
でも、いつまで経ってもあの埃っぽい家に帰ることはなかった。
”気がつけば、いつの間にか、おばあちゃんと一緒に住んでいた。”
『そう・・・そういうことなのね。アーヴェンさんや、リヴァイさんと話をしていて少し思い出しました』
『記憶が合致したのですね。クララ様は引退された後、リリー様の病気を聞き地下街へ移住を決められました。全て私のせいだからと・・・』
『おばあちゃん・・・』