第42章 存在の大きさ
幼いリサは”いつの間にか住んでいた”という記憶に変わり、住み出してからは女性として出来るようになっていた方がいいこと、そして自分の技術を自然と教えていた。
純粋であり、素直な子どもは素晴らしい。
知らなかったことを知れる楽しさ、喜びはスポンジのように吸収して膨らます。
それはリサだけではなくクララもであり、孫と触れ合い新しい発見や着眼点を見つけてくれる。
こんなにも幸せを与えてくれるなら、初めからリリーと共に地上で幸せになれたのではないかとクララが思っていたのはアーヴェンしか知らない。
『今まで綺麗な空気で暮らしていた婆さんには、少しばかり地下街には無理があったのか・・・。お世辞にも下水が垂れ流し、清潔とは真逆の環境だからな』
『左様でございます。失礼ながら、お歳も召していましたので体力的にもお辛い状態だったと思います』
『それなのに・・・私が薬の為とはいえ・・・あんな事するから・・・あっ・・・アーヴェンさんは知りませんでしたね』
『申し訳ありません。その事も存じております』
リサは何となく勘づいていた為、あっさりとそうでしたかと返答した。
『・・・リサ、言い方が悪くてすまねぇが・・・それはお前がそこで働こうが働かまいが変わらなかったことだ』
『えぇ・・・頭では分かっています。私が何も知らなかったばかりに・・・。こんな事ならもっとおばあちゃんから色々聞いていたら良かった』
『クララ様はリサ様を守りたかったのです。クララ・ミッシェルは大きなブランドになりました。幼い孫が地下街にいるとなれば、よからぬ事を考える輩もいるでしょう。そして、クララ様の死後・・・1人になったリサ様を迎えに行くよう私は遺言を預かってました』
『・・・・・・え?迎えに・・・?』
目を丸くするリサをよそに、リヴァイはため息をつき、自身の拳に力が入った。