第42章 存在の大きさ
『地下街での暮らしに右も左も分からないリリー様のことを可愛がってくれた女性がいたようで、その方に色々教えて貰っていたそうです。その方も幼いお子さんがいたようでした』
『ほぅ・・・。同じ母親同士で思うこともあったんだろ。地上からやって来た者がいきなりここで暮らすには厳しいからな』
『そうでしょうな。リリー様と同じぐらい美しい女性だったそうです。名前は・・・オランピアさん・・・でしたか』
ブフォ!!
『リヴァイさん?!こ、紅茶吹き出ましたけど!!』
リサはリヴァイの背中を摩っている間にアーヴェンがテーブルを拭く。
ハンカチを片手にむせながらリヴァイはリサに大丈夫だとアピールするように手を上げる。
『・・・2人とも手間掛けさせたな。爺さんが言った女の名前・・・オランピアは俺の母さん・・・本名はクシェルだ』
『何と!!』
『え、そうなんですか!!私のお母さんとリヴァイさんのお母さんが同じ職場?!』
『そういう事になる。ガキだったからほとんど覚えてねぇが・・・そういや・・・たまに赤ん坊抱いた人がうちに来ていたような・・・。まさか・・・あの赤ん坊が・・・リサだったのか?』
スッカリ抜け落ちていた記憶を辿る。
母親が帰宅してくると、小さな赤ん坊を抱いた女性も付いてきていた。子供だったリヴァイは母親が取られたような気持ちになっていたが、人あたりの良い女でリヴァイも少し気を許していた。
母親に良い経験になるからと、赤ん坊・・・つまりはリサのおしめを変えたこともある。
あの頃から既にリサを知っていたと思うと、リヴァイの独占欲が満たされる。排泄物を処理していたとリサに言えばどんな反応するだろうかと、少しにやつく。
『不思議な縁ですね・・・。親子揃ってリヴァイさんのお母さんに感謝しないといけません。リヴァイさん、お母さんは今どこで・・・?』
『いや、もう髄分前に亡くなってる。体が弱かったからな。リサ・・・気に病む必要はねぇ・・・もうガキの頃の話だからな』
『そうなんですか・・・。いつかお墓に手を合わさせてくださいね』