第40章 割れたティーカップ
『リサ、まだ紅茶飲めるか?爺さんのはこれだ』
『はい、ありがとうございます!』
『私の分まで・・・恐れ入ります』
ついさっきまで2人でお茶をしていて、リサのお腹の具合を心配する。リヴァイの優しさが嬉しくてリサは笑顔で紅茶を受け取った。老人の前にも紅茶を置くと、やはり読めない空気を漂わす。
『いただきます。・・・・・・おや、これは美味しい紅茶ですな』
『リヴァイさんは紅茶がお好きで淹れるのも上手なんです!』
『・・・褒めても何もでねぇぞ。紅茶ならリサの方が美味く淹れてると思う』
お互い褒め合う姿に老人はニコニコと笑顔を絶やさない。
『あの・・・本題なんですがお爺さんは一体・・・』
『おぉ、これは失礼致しました。私はアーヴェンと申します。お見知り置きを・・・』
『そうか、名前は分かった。それで、爺さんは何者で何故リサや俺の事を知っていた?事によっては追い出すことになる』
『リ、リヴァイさん!!』
リヴァイの本気の目を見ると、慌ててリヴァイの膝に手を置く。その上にリヴァイは自分の手を添えてギュッと握った。
『ほっほっほっ!これは頼もしいですな。リサ様も安心なさるわけですね』
『リヴァイさん、アーヴェンさんは悪い人じゃないと思うの。だから、話・・・聞きましょ?』
『・・・わかった』
リヴァイは身を乗り出していた姿勢を崩し椅子にもたれる。アーヴェンのもつ雰囲気にリヴァイは、そう言いつつも油断は出来ないと目を光らせていた。
『さて、リサ様・・・貴女様の姓をお伺いしてもよろしいですかな?』
『リサの・・・姓?お前、姓なんかあったのか?』
『え?ありますよ?リヴァイさんは?』
『俺はねぇ・・・。ただのリヴァイだ』
何かを思い出したようなリヴァイは少し声が小さくなる。リサは今聞くような話ではない気がして、リヴァイの手を握る。
『そうね。リヴァイさんですね』
リサの知らないリヴァイの過去はまたリヴァイが言いたくなった時に聞こうと思った。