第38章 リーダーとフラグ
───私がいなくなる?
リサは考えたことがなかった。
リヴァイ、ファーラン、イザベルの3人が目標としている地上への移住権。
それは遅かれ早かれ叶う気がしていたが、リサ自身までもが地下街からいなくなるとは考えていなかった。
元々身寄りのないリサに手を差し伸べるような人は地上にいない。
『それはないない!イザベル、私が地下街からいなくなるなんてありえないよ』
イザベルの手を握りぶんぶんと上下に振る。
『そんなのわかんねぇだろ?もしかしたら、ローザみたいにどっかの偉い人や貴族に求婚されるかもしれねぇじゃん!・・・オレグのこともあるし・・・』
イザベルの不貞腐れていた顔は下を向く。
オレグに求婚まがいなことはよく言われていたのは事実。あの時は仕事だと思いにっこり笑って返していたが、今じゃ地上ではリヴァイ達を悪者扱いをし、もしかしたら実は自分をも恨んでるんじゃないかと思うと背中がひんやりとする。
『リサ、家に行くのか?行かねぇのか?自分の家に行くだけだ、そんな気張ることねぇだろ』
『リヴァイさん・・・そ・・・うですよね!家に行くだけでいなくなるってのも変ですよね!行きます!』
『・・・・・・リサ~・・・』
大丈夫大丈夫!とリサは笑ってイザベルの手をぎゅっと握った。
『・・・リヴァイ、ちゃんとリサを守れよ。イザベルの勘も当たるからな・・・』
『あぁ・・・わかっている。いなくなるってのがどういう意味なのかはわかんねぇけどな』
再度磨き終わったナイフを角度を変えながら確認する。仕上がりに満足すると、くるっと回し仕舞う。
『リサ、行くと決まれば善は急げだ。家を見に行くだけなら時間はかからねぇだろ・・・立体機動の用意しとけ』
急過ぎ・・・と思いながらもリヴァイの気が変わらない内に用意をしようと、リサは装着してきます!とアジトから飛び出した。
イザベルも行く!と言い出したが、大勢で行くのは目立ち過ぎるから駄目だとファーランに止められていた。
『・・・・・・家に行くだけだ』
リヴァイは立体機動をつけながら自分にも言い聞かせた。